最適な育毛を実践していくためには、育毛に関する知識は不可欠です。
私が読んだ育毛関連の書籍で、おすすめできるものを5冊選んでみました。
育毛本の種類
育毛関連の書籍(育毛本)は以下の4つに分類することができます。
2 著者が育毛実践者
3 著者が医療関係者
4 著者がジャーナリスト(その他)
1 著者が育毛法提供者
これは本の著者が育毛サロンの経営者であったり、独自に開発した育毛法の提供者である場合です。
育毛本の中では一番多い部類になります。
当然、自分が提供している育毛法をプッシュしてくる内容になるので、その本のみでその育毛法を客観的に評価するのは難しくなります。
2 著者が育毛実践者
育毛に成功した著者が自分が実践した育毛法を紹介する場合です。
薄毛の人に一番近い立場の人が著者になります。
育毛を実践しようとする人間にとっては、具体性のある有益な情報が一番多く得ることできる本だといえるでしょう。
3 著者が医療関係者
医療関係者が医学的な観点から、育毛を扱っている場合です。
薄毛のメカニズムなどの説明は、一番客観的です。
ただ説明が客観的すぎて、育毛の実践に直接応用するには難しい場合があります。
4 著者がジャーナリスト(その他)
育毛に利害関係のないジャーナリストが著者の場合です。
「3 著者が医療関係者」とは違った角度で育毛を取り扱っています。
4つの分類の中で一番利害関係が薄いので、一番客観的かもしれません。
私見による育毛本ベスト5
育毛を本格的に実践するために10冊以上の育毛関連の本を読みました。
育毛関連の本で一番多いのは「著者が育毛法提供者」の本ですが、結局自分のサロンの宣伝だったりして、客観的に有益な情報を得られるものは案外少ないです。
次に多いのが「著者が医療関係者」のものです。
こちらは一番信頼できる情報を載せてくれていますが、どうしても内容が似通ってしまいます。共通の医学的な見地から情報を発信していると考えれば、仕方のないことかもしれません。
育毛実践者が欲しいのは「育毛の成功事例」です。
その点では、「著者が育毛実践者」の本が最も重要だと言えるでしょう。ただ、著者が成功したからといって、同じ方法で自分も育毛に成功できるとは限りません。
「自分にも合っているのか」「この育毛法は試す価値があるのか」という見極める力が必要になってきます。
この見極める力を養うには育毛全般に関する知識を習得することです。
その意味でおすすめできる育毛本を5冊選びました。
敢えておすすめ度の順位をつけています。
1 双田譲治『育毛物語』
おすすめ1位の本は、「著者が育毛実践者」でも「著者が医療関係者」でもなく、「著者がジャーナリスト」の部類になります。
著者が育毛サロンやクリニックを実際に体験取材した内容がまとめられています。
おすすめ1位にこの本を選んだのは、少なくとも私が読んだ中では本書が最も広範かつ客観的な視点からの育毛情報を提供してくれていると考えるからです。
著者が実際に取材して取り上げられているのは以下の機関です。
- アートネイチャー
- アデランス
- テクノヘア
- プロピア
- バイオテック
- リーブ21
- 日本毛髪科学協会
- 東京大学医学部付属病院
- 太陽油脂
- てらさわ小児科
- 虎の門病院
- パレスクリニック
- 城西クリニック
- 藤澤皮膚科
取材対象は大手育毛サロンから東大病院までに及びます(取材時期は2004年8月〜2005年4月)。
検証される育毛法も育毛サロンの施術からプロペシアなどの医薬品まで多岐にわたります。
取材も施術や診療を実際に受ける形なので、育毛法が利用者目線で語られています。この点は育毛本としては貴重です。
「著者が育毛法提供者」や「著者が医療関係者」の場合は利用者とは反対側からの視線になりますし、「著者が育毛実践者」の場合は視線としては同じ方向になりますが、ここまで多くの育毛サロンや病院を体験している人はまずいません。
また複数の育毛サロンを実際に体験している点も重要です。
育毛サロンの施術内容や費用はオープンになっておらず、それが育毛サロンを育毛法として検討する際の大きな障害になっていました。施術を受けてみなければわからないというのが実際だったのです。
本書ではアートネイチャーをはじめとした育毛サロンの内情を、カウンセラーとのやり取りを中心として利用者目線から語られています。著者が実際に提示された費用の金額も載っています。
様々な育毛機関を体験取材した著者は最終的には以下の育毛法に行き着いています。
- シャンプーは使わず、髪は3日に一度石けんで洗う
- 育毛剤は使わない
- サプリも摂らない
- 野菜をよく食べる
これはなかなか示唆に富む結果だと思います。
本書が書かれたのは10年以上前になりますが、現在でも十分通用する内容です。
育毛法のみならず、育毛業界に関する幅広い知識が得られるので、育毛を検討しているすべての人に一読していただきたい1冊です。
2 板見智『専門医が語る毛髪科学最前線』
おすすめ2位は専門医が書かれた「著者が医療関係者」の本になります。
著者の板見智氏は大阪大学大学院医学系研究科の教授です(2009年現在)。また日本皮膚科学会が2010年に制定した「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)」の策定メンバーの一人でもあります。
まさに現代日本の毛髪医療の最前線にいる方です。
本書は男性型脱毛症(AGA)のメカニズムや、ミノキシジルやフィナステリドなどの医薬品についての説明がなされています。
他の医師が同様の内容を紹介している本もありますが、「ガイドライン」策定メンバーの板見教授以上に、この任にふさわしい人はいないでしょう。
この20年ほどで毛髪医療は飛躍的に進歩しました。育毛を検討する以上、医学的な観点からの知識はぜひとも押さえておきたいところですが、それにはこの1冊で十分ではないかと思います。
ちなみに板見教授自身もプロペシアを服用しており、髪が増えた様子を本の中で写真で公開しています。
3 鈴木拓也『育毛セラピー』
1〜2位はどんな育毛法を選択するにしても、客観的で広範な知識が必要だと考え、敢えて特定の育毛法についてではない本を選びました。
反対に3位以下は、すべて「著者が育毛実践者」となり、具体的な育毛法をあつかっている本になります。
その中で鈴木さんの『育毛セラピー』を3位に選んだのは、紹介されている個々の育毛法もさることながら、育毛全般に関する姿勢が参考になると考えたからです。
鈴木さんはプロペシアを服用しながらも、食事療法などを組み合わせることで、プロペシアを2日1錠に減らしても、毛量を維持することに成功しています。
鈴木さんが実践しているのは以下のような育毛法です。
- プロペシア内服
- オリジナルブレンドのハーブティー
- 黒豆の摂取
- 1日2食
- ワークライフバランスの見直し
- 姿勢の矯正
鈴木さんが実践されているのは、奇抜な育毛法ではなく、プロペシア内服と一般的な健康法の組み合わせです。
特に薄毛とワーカホリックとの関係性への指摘は、方法論以前の思考に焦点を当てており、「なぜか育毛が成功しない」という人は大いに参考にすべきだと思います。
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具体的な育毛法に加えて育毛に取り組む姿勢や考え方が参考になる1冊です。
4 藤田紘一郎『55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由』
他の記事でも度々引用している本書は、特に医薬品、育毛剤、育毛シャンプーを使いたくない人に参考になります。
著者の藤田紘一郎先生は、医学博士でもあるので本書は藤田先生が実践されている育毛法のみならず、医学的な知識にも触れることができます。ですから本書は「著者が育毛実践者」であると同時に「著者が医療関係者」でもある特異なカテゴリーだと言えます。
また藤田先生は腸と免疫学の研究者なので、育毛関連本の著者に多い皮膚科医とは違う観点からの育毛知識を提供してくれています。
藤田先生が実践しているのは以下の育毛法です。
- 糖質制限
- 食物繊維の多い食事をとる
- 発酵食品を食べる
- シリカ水を飲む
- シャンプーやリンスを使わない
- 湯シャンをする
- シャワーヘッドは塩素除去機能がついたものに交換する
特に腸と髪(皮膚)は密接に関係しているという観点から、育毛にいい食事、わるい食事を詳細に説明されています。
ただし、藤田先生が薄毛を自覚し育毛を開始したのは55歳からですので、男性型脱毛症(AGA)である可能性は低いです。どちらかというと老化による薄毛ではないかと思います。
ですので、藤田先生の育毛法は男性型脱毛症(AGA)に特化していない点は注意する必要があります。
しかし、藤田先生の育毛法は髪全般の成長力を向上させるものですで、男性型脱毛症(AGA)の根本的な対処にはならなくても、育毛自体の効果は望めると私は考えています。
5 宇津木龍一『シャンプーをやめると、髪が増える』
書名の通り、「シャンプーをやめること」=「湯シャン」に特化した育毛本が本書です。
著者の宇津木先生は美容整形外科医ですので、藤田先生同様、育毛実践者であると同時に医療関係者でもあります。
本書では、シャンプーをやめて髪や頭皮の状態が改善した宇津木先生自身の体験と、医師としてのシャンプーに対する見解が解説されています。
湯シャンについてはネットなどで知って、実践する人も多いのではないかと思いますが、途中で挫折する人も多いように思います。私も過去途中で湯シャンを断念した一人です。
ネットなどの情報は断片的ですので、挫折する要因を事前に知ることができません。それで安易に始めた結果、ちょっとしたことで挫折してしてしまうのではないかと思うのです。
本書を読んで一番よかったのは「湯シャンは簡単ではないこと」という点を知ることができたことです。
宇津木先生自身は湯シャンを何の抵抗もなく、湯シャンを始められたそうですが、湯シャンの実践例として載っている知人の方の場合は皮脂やにおいが気になるなど大変だったようです。
湯シャンをして数ヶ月後にはこれら気にならなくなったそうですが、こうしたことを知らなければ湯シャンのメリットを感じられずに中断してしまう可能性があります。
湯シャンを始めたい人、湯シャンを中断したけれど再挑戦したい人、シャンプーに疑問を感じている人におすすめです。
最適な行動のための最適な知識
育毛には時間がかかります。だいたいどんな育毛法でも効果を確認できるのは6ヶ月後だと考えておくのが妥当でしょう。
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薄毛というのはコンプレックスです。他人には相談しにくいという性質上、なかなか有益な情報が世の中に出回りません。
有効な情報を知らないために、効果の乏しい育毛法に飛びついてしまう可能性が高くなります(湯シャン実践者からすればシャンプーをすることはまさにそうなのですが)。
信頼できる情報に事前に触れることでそうしたことを回避できます。
ネット上には確かにいろいろな育毛に関する情報があふれていますが、不確かなものが多いのも現実です。
やはり信頼できる情報は、信頼のできる人が書いた本から得るのが一番だと私は思います。