湯シャンを実践している私ですが、よほどのことが無い限り、シャンプーを使うことはもう無いだろうと思います。
シャンプーをすることのメリットはほとんどないと思うからです。むしろ髪や頭皮にとって害になる可能性のほうが高いと思います。
逆に言えば、シャンプーをやめることで生じるメリットはあっても、デメリットはほとんどないということです。
シャンプーする理由とは
そもそもシャンプーするのは何故、何のためなのでしょうか。
「皆がしているから」
改めて質問してみるとこうした答えが返ってきそうですが、これでは「本当の理由はわからない」と答えているのと同じです。
「シャンプーをしないと不潔だから」
この返答が一番説得力がありそうです。
しかし、本当にシャンプーをしないといけない程、髪と頭皮は汚れているのでしょうか。
髪と頭皮の汚れは洗剤で洗う程のものではない
シャンプーも立派な洗剤の一種です。特に廉価な高級アルコール系を洗浄成分としているものは本質的には台所用洗剤とほとんど変わりません。
食器に頑固な油汚れがついているならば、洗剤で洗うことは理にかなっています。
しかし、髪や頭皮に洗剤で洗わなければいけないほどの汚れが毎日つくでしょうか。
髪や頭皮から毎日出る汚れは、抜け毛や垢の一種であるフケ、皮脂、そして髪や頭皮に付着した小さなゴミやホコリといったものです。
こうした汚れは丁寧にブラッシングをして、お湯のシャワーをあてるだけでほとんど落ちます。
試しに一度、湯船の中で頭皮にシャワーをあててみてください。
頭皮にあてたお湯が湯船に溜まっていきますが、お湯によって落ちた皮脂やフケがお湯の表面に浮いてきます。
想像していた以上の汚れが浮いてくるので、初めて見た方はきっとびっくりされることだと思います。
元々フケや皮脂は体から出てきたものなので、体に害があるわけではありません。
洗剤で洗わなければいけない程の汚れは、通常は頭皮や髪には出ないのです。
皮脂は天然の保湿クリーム
「お湯だけでは皮脂は完全に落ちないのでは?」という疑問もあるかと思います。
確かにお湯だけでは完全に皮脂を取り除くことはできません。
しかし、そもそも皮脂は完全に取り除かなくてはいけないものなのでしょうか。
むしろ、シャンプーが過剰に皮脂を取り除いているというのが本当のところです。
人間の体はよくできた構造物で、生体の作用にはほとんど無駄がありません。
体と外界との境界である皮膚には体の外から体内に異物が入らないようするバリア機能が備わっています。
皮脂もそのバリア機能の一部なのです。
毛穴から分泌された皮脂は表皮を覆い、皮膚の水分を保湿する役目を持っています。
皮脂によって保湿されることで皮膚は外界から体内を守るという本来の働きを正常に行うことができます。
せっかく分泌された皮脂を完全に取り除いてしまえば、皮膚から水分が奪われ、バリア機能が低下してしまします。
肌の保湿の面から考えると、お湯で洗っても少し頭皮に皮脂が残るくらいがいいのです。
育毛成分は頭皮からは浸透しにくい
育毛シャンプーの多くは育毛を促す成分が配合されていることを特長としています。
しかし、いくらすばらしい育毛成分が配合されていても、頭皮からの経路では体内にはほとんど浸透しないと考えた方がいいでしょう。
育毛剤でさえも、頭皮に塗布したものが実際に浸透するのは20%程度だと言われています。
これは、そもそも皮膚が体外から何かを取り込む器官ではなく、むしろ体内から排出物を出す排泄器官であるためです。
皮膚からは汗や皮脂、古い皮膚である垢が排出されます。
このうち皮脂は汗と合わさることで、皮膚の上に天然のクリームを張り、体のバリアである皮膚の上にさらにバリアを作ります。
育毛剤やシャンプーの育毛成分も皮膚からすると異物ですので、皮脂のバリアではじかれてしまいます。
シャンプーによって皮脂が取り除かれれば、通常よりも浸透しやすくなりますが、皮膚のバリア機能をわざわざ破壊することになるので、頭皮環境を悪化させることになり、育毛という目的から考えると本末転倒と言えます。
そもそも、毛母細胞が分裂して髪が生み出されている毛球部分は毛穴の最深部、ちょうど真皮と皮下組織の境界付近にあります。
育毛成分が少し皮膚に浸透したとしても届くような範囲にはないのです。
また、シャンプーは最後には洗い流してしまい、頭皮に残ることはありません。
一時的に頭皮に付着するに過ぎないシャンプーに育毛成分を配合すること自体がナンセンスなのです。
皮脂とブラッシングでツヤのある髪に
シャンプーをする目的は「ツヤのある美しい髪にしたいから」と考えている人もいるでしょう。
そう考える前提には、「シャンプーをしない状態の髪にはツヤがない」という思い込みがあります。
しかし、シャンプーをしないほうが髪に自然なツヤを出すことが可能なのです。
その秘密は、天然の保湿クリームである皮脂にあります。
頭皮の毛穴から分泌された皮脂が髪にも浸透し、髪の表面を覆うことで自然のツヤでてくるのです。
このツヤを出すためには丁寧なブラッシングが必要になります。
ブラッシングをすることで、頭皮や髪の根元にある皮脂を毛先まで伸ばすことができるのです。
皮脂によるツヤこそ髪本来のつやです。
満足のいくスタイリングのためにシャンプーは欠かせないと考えている人は多いと思いますが、シャンプーをしなくても立派なスタイリングは可能なのです。
ニオイはいづれ解消する
シャンプーなしではニオイが心配という人も多いことでしょう。
しかし、お湯で皮脂を流せば、ある程度ニオイは抑えられます。
『シャンプーをやめると、髪が増える』の著者である宇津木龍一医師によれば、シャンプーをやめて4〜5ヶ月でニオイは気にならなくなるそうです。
ニオイの原因自体がシャンプーである可能性が高いためです。
頭皮や髪のニオイの原因は皮脂が酸化した過酸化脂質などだとされていますが、シャンプーが皮脂を過剰に取りすぎるためにかえって皮脂の分泌を促し、多すぎる皮脂がニオイの原因となっていると考えられるからです。
ニオイが気になるためにシャンプーを継続していると、常に皮脂が過剰に分泌されてかえってニオイが発生するという悪循環になってしまいます。
シャンプーをやめることでこの悪順を脱することができるのです。
シャンプーをやめることは簡単
いかがでしょうか。
シャンプーをすることで果たそうとしていた目的は、実はシャンプーをしなくても達成できます。
それならば、余計なシャンプーをしないにこしたことはありません。
今回説明した以外にもシャンプーには髪や頭皮にダメージを与える可能性もあります。
もともと「シャンプーをしている」という習慣をやめることは、それまでしていなかった新たな習慣を始めることよりも簡単なはずです。
それでも、シャンプーをやめることに多くの人が抵抗感を感じることは、いかに私たちの「シャンプー神話」が根強いものかを物語っています。
要はシャンプーをやめられないのは、「シャンプーは髪と頭皮にいい」という思い込みだけだということです。
少しでも「シャンプーをやめてみようかな」と感じ始めたなら、あなたの中の強固な思い込みが崩れかけている兆候です。
あとはほんの少し行動に移すだけで、その思い込みは完全に消えていくでしょう。