最近話題の炭酸シャンプー。
炭酸水の育毛効果を期待できるという話もありますが、私自身はあまり期待できないと考えています。
今回はその理由を3つに分けて説明してみます。
二酸化炭素には育毛効果は期待できない
炭酸を配合した炭酸シャンプーには
- 血行促進
- 洗浄力
といった効果が期待できると言われています。
確かに「炭酸には血行促進効果がある」と言われています。しかし、正しくは「炭酸泉」に血行促進効果があるというべきです。
ちょっとややこしいので整理してみましょう。
炭酸(H2CO3)というのは二酸化炭素(C02)が水(H2O)に溶けたもののことですね。
この炭酸がさらに分解されると重炭酸イオン(HC03-)と水素イオン(H+)になります。
炭酸泉とはこの重炭酸イオンがお湯に溶けている温泉のことなのです。
詳しくは下記の記事で解説しましたが、炭酸泉の重炭酸イオンが皮膚から血管に取り込まれると、体が「酸素が足りない!老廃物が多い!」と勘違いして、血管が拡張されます。
これがいわゆる「炭酸水の血行促進作用」の元ネタになっているようです。より詳しくは下記の記事を参照してください。
しかし、血行促進作用が期待できるのはあくまで温泉に溶けている重炭酸イオンで、気体である二酸化炭素ではありません。
「泡が出る=炭酸の効能がありそう!」というイメージですが、むしろ泡にならずにイオンのままの状態の方が効果があるのです。
炭酸シャンプーは
「細かい泡が毛穴の汚れを取る」
「シュワシュワの感触が気持ちいい」
という風に説明されているので、炭酸は二酸化炭素の状態になっているのだと思われます。
二酸化炭素というのは私たちが吐く息にも、空気中にも含まれているありふれた気体です。その二酸化炭素には残念ながら血行促進作用は期待できないと私は思います。
強力な洗浄力は髪と頭皮にマイナス
どうやら炭酸シャンプーは普通のシャンプーよりも洗浄力が強いようです。
「普段取れない毛穴の汚れを取る!」と言われると育毛に効果がありそうに感じてしまいます。しかし、今の所、医学的には皮脂が薄毛の原因だとはみなされていません。
関連記事皮脂悪玉論には医学的根拠はない
むしろ、皮脂は頭皮とっては天然の保湿クリームであり、外部から身を守るバリアの一部です。髪にとっては天然のトリートメントでもあります。
過剰に除去すると頭皮の乾燥や荒れ、髪の傷み、皮脂の過剰分泌につながってしまいます。
そうなるとトリートメントなどでケアしければいけなくなりますが、それ自体が頭皮に良くない可能性もあるのです。
関連記事リンスやトリートメントを頭皮につけてはいけない本当の理由
また、それほど強力な洗浄力がはたして炭酸の力だけのものなのかも疑問です。
もし、強い界面活性剤が使われているとしたら、その分頭皮の負担も大きくなってしまいます。
そもそもシャンプー自体に育毛効果はない
最後の理由は炭酸シャンプー自体に限らないことですが、汚れを落とす洗剤にすぎないシャンプーには育毛効果を加えようがないということです。
シャンプーの目的は髪と頭皮の汚れを落とすことです。その点では、手洗い用の石鹸や台所用洗剤と同じです。
例えば、台所用洗剤に肌荒れ対策の保湿成分を入れてみたとしても、結局は洗剤自体が保湿成分を洗い流してしまうはずです。
それと同じで、どんなに効果が期待できる育毛成分を配合したとしても、シャンプー自体がその成分を洗い流してしまいます。そうでなければ、そのシャンプーは汚れが取れないということなので、そもそもシャンプーする意味もありません。
世間一般では「シャンプー=髪にいい」というイメージが強いので、「保湿成分や育毛成分が入っているシャンプー」というのは違和感なく受け入れられています。
しかし、頭皮に残したい成分が入っているシャンプーというのは実はナンセンスなものなのです。
炭酸の力を育毛に取り入れたいならホットタブで湯シャン
それにしても「炭酸シャンプー」というのはいかにも育毛に良さそうなネーミングですよね。
前述のように、確かに炭酸には育毛効果を期待できます。ただし重炭酸イオンのかたちになっているならば、という条件つきですが。
重炭酸イオンの力を育毛に取り入れたいのなら、ホットタブでの湯シャンがオススメです。
ホットタブはまさに家庭で炭酸泉を再現する目的で開発された入浴剤だからです。
1. 血行促進作用
ホットタブは炭酸泉と同じように重炭酸イオンによる血行促進作用があります。
炭酸泉に入浴すると血流量が通常のお湯と比べて約3倍になると言われてます。
血行の促進は育毛にとってプラスになります。
2. 老廃物の除去
ホットタブの主な成分は重曹とクエン酸で、どれも人体に危険のないものです。
これらの成分と重炭酸イオンとで、ホットタブには自然な洗浄力が備わっています。
ホットタブを入浴剤として使用すると石鹸もいらなくなると言われています。
実際に私も2年近くホットタブのお湯で入浴していますが、石鹸を使用しなくてもお湯に浸かるだけで余分な汚れが落ちています。
3. 中性・塩素除去・洗剤不使用で肌トラブルなし
ホットタブの嬉しいところは、洗剤を使用していないので、肌へのダメージを気にせずに安心して使用できることです。
ホットタブを溶かしたお湯は中性に保たれるので、酸性・アルカリ性による肌への負担もありません。
また、重炭酸イオンと一緒に発生する水素イオンは塩素除去作用があるので、水道水の塩素も除去されてさらに肌へも優しいお湯になります。
まとめ
薄毛に悩み始めると多くの人が「育毛にいい」と言われるシャンプーに手を出すことになります。
しかし、説明したように洗剤に過ぎないシャンプー自体に育毛効果を求めるのはナンセンスです。
思い切って、湯シャンに切り替えてみたほうが、「育毛効果があるのはどのシャンプーか?」という答えのない問題に悩み続けることから解放されることになります。
「炭酸シャンプー」に興味を持ったのなら、ホットタブを使用した湯シャンもぜひ検討してみてください。