フィナステリドは男子胎児の生殖器の発育に影響を与えるため、妊娠中・授乳中の女性の服用・取扱は禁止されています。
では服用中の男性が子作りしてもいいのか?という疑問もでてくるはず。
実はフィナステリドと子作りについては、医学的にも検証はなされています。
今回はその検証データをご紹介します。
フィナステリドと子作りに関する動物実験
フィナステリドを服用中に子作りしても大丈夫か、という疑問はもっともなものですが、まさか人間で試すわけにはいきません。
しかし、フィナステリドと胎児の発育に関する動物実験はいくつかなされています。
出典元:プロペシア医薬品インタビューフォーム
これらの実験から、ヒトに対してもある程度の予測はできます。
フィナステリド服用中のオス(男性)が子作りして問題ないか
フィナステリド服用中のオス(男性)が子作りして大丈夫かという問題ですが、これに対応するのが上記の表の「Seg. 1」の雄に対する試験になります。
ラットの試験
- 胎児に影響なし
- 親は受胎率の低下
ウサギの試験
- 胎児・親ともに問題なし
アカゲザルの試験
- 胎児・親ともに問題なし
これらの動物実験の結果から考えると、父親がフィナステリドを服用中にできた胎児でも、特に問題があるわけではないようです。
特にアカゲザルの実験は、妊娠中のメスに静脈注射したというものですが、その投与量はフィナステリド1mgを服用した人間の射精1回で女性が触れる量の少なくとも750倍です。つまり、オスの性液が母親を介して胎児に与える影響もほとんどないと考えられるということです。
ただし、あくまで動物実験での結果であり、人間で試されたわけではないので、絶対とは言い切れません。
ちなみ、ラットの親の受胎率低下は、人間で言えば性欲減退や勃起不全などの父親の性機能での副作用に相当する可能性があります。
フィナステリドと妊娠・授乳に関する実験
服用中のオスが子作りしても問題ありませんが、妊娠中・授乳中のメスが触れるのはNGである結果が動物実験で出ています。
ラットの試験
- オスの胎児の性器に影響が見られた
ウサギの試験
- 胎児に目立った影響は見られなかった
- ただし、胎児死亡率の上昇との関連性が否定できない
アカゲザルの試験
- オスの胎児での性器発育不全などが見られた
このように動物実験では、妊娠中または授乳中の母親がフィナステリドを服用するとオスの胎児の性器の発育などに影響が出る結果となっています。
ラットの実験ではわずかな量でも影響が出ているので、母親は服用するだけではなく、触れるのもNGになります。
医者がフィナステリド服用中の子作りを積極的に勧められない理由
動物実験からは
- 父親が服用していても胎児には影響ない
- 母親は触れるのもダメ
という結果が出ています。
なので、フィナステリド服用中の子作りもOKになるはずですが、ネットで調べてみると積極的に勧めない医師の方が多い印象です。
- 人間で試験をしたわけではないので、安全性が確立されているわけではない
- 母親から影響されることはほぼ確実なので、胎児には危険なものであることは事実
こうしたことから医者も「全く問題ない」とは言い切れないのが実情のようです。
フィナステリドとは全く別の要因で、胎児に何らかの異常が出る場合もありえます。その時、「もしかしたらフィナステリドが原因ではないか」と思い悩むことになるかもしれません。
そういう可能性がある以上、積極的に進めないというのは医師として賢明なスタンスだと言えます。
最終的には自己の判断
このように医師に相談しても「不安なら服用を中止しましょう」という返答が多いはずです。
その時、薄毛改善か子作り上の安心か、判断するのは結局当人しかできません。
ただし、フィナステリド以外にも育毛法はあるので、そちらに切り替えることができれば、それが最良です。
フィナステリドの副作用には、子作りに関するもの以外にも、頻度は不明ながら肝機能障害がでる可能性もあります。酒量の多い人などは肝臓に問題が出る可能性が高いので、それが理由でフィナステリドの服用をやめなければいけない場合もあり得ます。
そうした場合に備える意味でも、フィナステリド服用とは別の方法を一度試してみることは有益です。
フィナステリド服用の代わりとなる育毛法
フィナステリド服用の代わりとなる育毛剤・育毛法は、有効性と安全性という点では、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」で推奨度B以上のものから選ぶのが妥当です。
参照サイト一般公開ガイドライン一覧/日本皮膚科学会
ただし推奨度Aのデュタステリド内服は、フィナステリドと同様に男子胎児の生殖器官などの発育に影響する恐れと、性欲減少・勃起機能不全などの副作用の可能性があるので、代替法の候補からは外れます。
1. ミノキシジル外用
効果についてはガイドラインでフィナステリドと同様の推奨度Aなので、効果重視の場合の一番の候補といえます。
副作用は出たとしても皮膚症状なので、子作りの上でも問題ありません。
下記の記事で紹介したように、費用がお得になる方法もあります。
関連記事リアップよりも10%安い値段でミノキシジルを購入する方法とは?
2. 自毛植毛
ガイドラインでは推奨度Aに次ぐ推奨度Bなので、効果は期待できます。
フィナステリド及びデュタステリド内服やミノキシジル外用による効果が十分でない症例に対して、他に手段がない状況において、十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限り、男性型脱毛症には自毛植毛術を行うよう勧め[る]
引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版/日本皮膚科学会
薬事療法ではないので副作用の心配もなく、子作り上も問題ありません。
ただし、外科手術になるので、身体的な負担はあります。費用も一時的に数十万〜数百万円かかります。
フィナステリドのように継続的は療法ではなく、一挙に薄毛を解決するので、フィナステリド服用やミノキシジル外用とは根本的に異なる育毛法です。
費用も1回分は高額になりますが、フィナステリドのように毎月かかるものではないので、トータルで見ると安くなる場合が多いです。
これを機会に自毛植毛を検討して見るのもいいかもしれません。
3. 低出力レーザー
日本では未承認の医療機器ですが、ガイドラインでは推奨度Bなので効果は期待できます。
副作用も皮膚のかゆみや乾燥程度なので、リスクの低さでは一番のおすすめです。
費用は1台4万〜10万。購入費用は少々高いですが、ランニングコストがかからないので、数年単位で考えれば費用面では一番お得です。
効果や安全性については下記の記事を参考にしてください。
関連記事【実は賛否両論】ヘアマックスの育毛効果についての医師の見解
4. アデノシン外用
アデノシン配合の外用剤のことで、実際の製品としては資生堂のアデノゲンになります。
低出力レーザー同様、ガイドラインでの推奨度はBなので効果は期待できます。
ある臨床試験の結果からは、ミノキシジル5%と同等の効果がある可能性が指摘されています。
副作用については、ガイドラインでは言及されていません。アデノシン自体がもともと人体に備わっている成分なので、安全性は高いとされています。
アデノゲンはアマゾンでも購入できるので、その点便利です。
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まとめ
フィナステリドの代替療法としては、自毛植毛への切り替えは大きな決断になりますが、それ以外でもミノキシジル外用、低出力レーザー、アデノシンと3つの選択肢があることになります。
複数の選択肢があれば、それだけ効果があるものに出会える確率が高くなります。
フィナステリドと子作りで真剣に悩んでいる人の参考になれば幸いです。