湯シャン

湯シャンが髪にいいのではなく、シャンプーが髪に悪いだけ

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「湯シャンが髪にいい」ということが少しずつ広まっています。

しかし「湯シャンが髪にいい」というよりも「シャンプーが髪に悪い」というほうが正しいような気がします。

「シャンプーが髪に悪い」という意見は非常識に聞こえますが、むしろ今までシャンプーが髪と頭皮に与えるダメージが考慮されてこなかったというの実情なのです。

30年前はシャンプーの習慣はなかった

今では毎日シャンプーすることは社会の常識となっていますが、シャンプーの歴史は意外と浅いものなのです。

石けんの歴史は古く紀元前にさかのぼりますが、一般の日本人が手にするようになったのは明治時代に工場生産品がヨーロッパから輸入されるようになってからのようです。

もともと日本人には水で髪を洗う習慣はなく、くしで髪をとくことがヘアケアの基本でした。

明治時代から昭和初期にかけて、石けんで髪を洗う習慣が広まりますが、週1回程度の頻度が一般的だったようです。

一方、現在洗剤の主流となっている合成界面活性剤は1940年代にドイツで製造法が確立されました。

それを受けて日本で合成界面活性剤のシャンプーが1950年代に発売されるようになります。

しかしまだ1970年代までは週1回程度シャンプーで洗髪するというのが一般的だったようです。

現在のように毎日シャンプーすることが一般的になったのは1980年代に入ってからです。

1980年代以降、販売されるシャンプーの種類が爆発的に増えたのに伴ってのことだと考えられいます。

つまり、シャンプーを毎日する習慣はまだ30年ほどの歴史しかないのです。

広告宣伝によるイメージ

毎日シャンプーする習慣の歴史が30年ほどしかないということは、当たり前のことですが30年までは毎日シャンプーしなくても問題なかったということです。

なぜこの数十年でシャンプーがここまで一般化するようになったのでしょうか。

それはテレビコマーシャルなどによって「シャンプー=清潔」というイメージが一般的になったからではないと考えられます。

現在でもテレビなどでシャンプーのコマーシャルは盛んに行われています。

どれもシャンプーをすることで髪がきれいになる、頭皮が清潔になるというメリットをうたっています。

有名モデルがつやのある髪で登場するコマーシャルをみれば、「シャンプーをしなければあのようなつやのある髪にはならない」というイメージを持ってしまいそうになります。

しかし、本来洗剤でしかないシャンプーにそこまで劇的に髪を美しくする効果があるのでしょうか。

むしろシャンプーが頭皮や髪に害を与えることを消費者の目から覆い隠すために、シャンプー自体の過剰なイメージ戦略を取っているとも考えられます。

シャンプーは皮脂を取りすぎる

そもそもシャンプーの本質は界面活性剤を成分とする洗剤です。この点は台所用洗剤と変わりません。

界面活性剤とは水と油のように本来相反する性質の液体を結びつける物質のことです。

相容れないことの例えとして「水と油」と用いられるように、水と油は普通であれば互いに混じりあうことはありません。

界面活性剤の分子には水に溶けやすい部分と油に溶けやすい部分の両方があります。

このため界面活性剤は水と油の両方と結びつき、両者を結びつけることができるのです。

洗剤として界面活性剤を用いることで、本来なら水には溶けることがない油溶性の汚れを水で流すことができるようになります。

問題なのは油が頭皮にとって必要なものであることです。

人の皮膚は毛穴にある皮脂腺から分泌された皮脂と汗などの水分が混ざりあった皮脂膜で覆われています。

この皮脂膜は弱酸性に保たれているため、酸性に弱い皮膚に悪影響を及ぼす細菌類の増殖を抑制しています。

また皮膚面の水分の蒸発を防ぐ保湿クリームの役目も果たしています。

このように皮脂は皮膚にとってなくてはならないものなのですが、シャンプーの界面活性剤はこの皮脂を問答無用で取り除いてしまうのです。

結果として、皮脂膜が除かれた皮膚は一時的に無防備な状態になり、皮膚や髪の乾燥を招いてしまいます。

さらに取り除かれた分を補おうと皮脂が過剰に分泌されるようになり、その過剰な皮脂が酸化して頭皮のニオイの原因になってしまいます。

保湿成分を配合していることを宣伝しているシャンプーがありますが、要はシャンプー自体が皮脂を取り除いたために乾燥してしまった髪と頭皮を保湿するための対処なのです。

これでは一種のマッチポンプで、わざわざ化学物質の保湿成分をつけるのなら最初から天然の保湿成分である皮脂を取り除かなければいいのです。

しかしシャンプーも洗剤である以上、どうつくろうがその主な作用は皮脂の除去になってしまいます。

皮膚常在菌を殺してしまう

皮脂を取ってしまうこと以外でもシャンプーは頭皮と髪にダメージを与えてしまいます。

それは皮膚に棲む細菌を除去してしまうという点です。

人の皮膚には皮膚常在菌と呼ばれる細菌たちが棲んでいます。

これらの細菌は皮脂を食べて脂肪酸を代謝することで皮膚を弱酸性に保っています。

外来の悪性の細菌の多くは酸性の環境を嫌うので、皮膚常在菌は悪性の細菌から皮膚を守っているといえるのです。

しかしシャンプーの洗浄作用はこうした皮膚常在菌も除去してしまいます。

さらにシャンプーが腐らないように配合されている防腐剤も皮膚常在菌を殺菌してしまうのです。

こうしてシャンプーは皮膚常在菌を除去して皮膚の正常な環境を損なっているのです。

タンパク変性

またシャンプーの界面活性剤がタンパク変性を起こす可能性も指摘されています。

界面活性剤は異なる性質の物質を結合する性質を持ちますが、それが頭皮や髪のタンパク質と結びついて、その性質を変えてしまうというのです。

タンパク質は人体の15~20%を構成しているといわれ、特に髪の毛はその60〜70%をタンパク質で構成されています。

タンパク変性によって髪の毛の表面を覆うキューティクルがめくれたり、髪の中のタンパク質が切れたりして髪の油分が外にでてしまい、髪の毛のうるおいが失われてしまいます。

さらに深刻な場合には脱毛の原因になるともいわれています。

日本人は潔癖性

このようにみてくるとシャンプーは決して髪と頭皮にやさしいものとはいえません。

むしろその危険性は十分注意する必要があります。

シャンプーのこうした危険性と世間一般の「シャンプー=清潔」というイメージにはギャップがありますが、それは先ほども説明したように広告宣伝によるイメージが先行しているためと考えられます。

しかしこうした「シャンプー=清潔」という過度なイメージが世間に受け入れられる素地は、日本人が元々もっている清潔志向にあるともいえます。

世界的に見れば日本人ほど清潔好きな民族は他にはいません。

日本人が清潔好きなのは、日本の気候が亜熱帯でものが腐りやすく、そのため腐敗に敏感になったためだともいわれています。

たとえば今でも食品添加物は問題になりますが、食品添加物が添加されるのは食べ物を腐敗させるのを防ぐためでもあります。

食品添加物を大量に摂取している日本人の死体は、他の民族の死体に比べて腐りにくいともいわれています。

また最近では様々なものに除菌・抗菌処理されることが増えてきましたが、これも日本人の清潔志向を表しています。

こうした日本人が元々もっている清潔志向が、テレビコマーシャルのイメージ戦略によって増幅され、「シャンプーをしないと不潔だ」という認識が一般化してしまったと考えられます。

ゼロから髪と頭皮のことを考える

シャンプーが髪と頭皮に与えるダメージのことを考えれば、シャンプーを使用するかどうかは慎重に考えなければいけません。

しかし多くの人は広告宣伝によって「シャンプー=清潔」というイメージが強固に刷り込まれているので、「シャンプーをすべきかどうか」という判断は据え置かれて、「どのシャンプーがいいのか」という点に焦点をずらされています。

いわば広告のイメージによって一種の思考停止に陥っているといっていいでしょう。

まず、シャンプーをやめて湯シャンを試してみて、それで不都合があればシャンプーの使用を検討してみても遅くはありません。

むしろこのほうが自分にあったヘアケアをより的確に把握できます。

シャンプーされている方はまずシャンプーすること自体を疑ってみてください。

非常識なようですが、それがより良いヘアケアへの第一歩になります。

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