炭酸水で髪を洗うと育毛効果があると言われています。
しかし、実際には「炭酸水」ではなく「炭酸泉」に効果があるのです。
炭酸水に育毛効果がある?
炭酸水で頭皮を洗うと育毛に効果があると一部で言われています。
「シャンプーに炭酸水を混ぜて頭皮を洗う」
「美容室で炭酸ヘッドスパをしてもらう」
というのが具体的な方法のようです。
炭酸水で頭皮を洗うことには以下の効果があるといわれています。
☑️頭皮の汚れが落ちやすくなる
炭酸水で血行が促進するといわれているのは、炭酸(=二酸化炭素)が皮膚を通して血管に入り込むと血流が増えるためのようです。
頭皮の汚れが落ちるのも炭酸ガスの泡が汚れに付着するから、といわれています。
つまり、炭酸ガスの育毛効果は炭酸ガスの泡(二酸化炭素)によっているということです。
しかし、育毛に関して言えば実は炭酸ガスは重要ではありません。むしろ炭酸ガスが出ない方がいいのです。
「炭酸水」=「炭酸泉」?
炭酸ガスが育毛に効果があると言われる根拠になっているのは「炭酸泉」に血行促進効果があることからだと考えられます。
「炭酸泉」とはお湯に二酸化炭素が高濃度で溶けている温泉のことです。
ヨーロッパでは昔から炭酸泉が医療や健康促進に利用されてきました。特にドイツでは炭酸泉は「心臓の湯」と呼ばれ、高血圧や心臓疾患の治療に取り入れられています。
ドイツの温泉リゾート地バート・ナウハイムは世界的にも有名で、年間3〜4万人が心臓疾患の治療で訪れるといわれています。
日本では大分県の長湯温泉が炭酸泉として昔から有名です。
ヨーロッパでも日本でも「炭酸泉」の効能は数百年以上昔から認められてきたのです。十分な実績といえるでしょう。
「炭酸泉」も「炭酸水」と同じように炭酸ガスを発します。そのため「炭酸泉」の効能は炭酸ガスによるものだと長年考えられてきました。
しかし、最近の研究で「炭酸泉」の効能は気体である炭酸ガスではなく、お湯に溶けている重炭酸イオンによるものであることがわかったのです。
炭酸ガスは出ない方がいい
二酸化炭素は水と反応して炭酸となり、水中では重炭酸イオンとして存在しています。
出典元:ナースの教科書
実はこの重炭酸イオンは人間の血液にも常に含まれています。
人間は呼吸で酸素を取り込みエネルギーにします。酸素は血液中の赤血球によって各組織に運ばれますが、各組織で酸素を使ってエネルギーが生み出されると代わりに二酸化炭素が生まれます。
二酸化炭素も血液によって肺に運ばれ、呼吸によって体外に排出されますが、二酸化炭素は血液中では主に重炭酸イオンとなっているのです。
出典元:看護roo!
炭酸水の血行促進作用は「炭酸水の炭酸ガスが皮膚を通して血管に入るため」と言われていますが、気体である炭酸ガスの状態では血管に浸透することは難しいです。
炭酸泉の二酸化炭素が血管に浸透するには、重炭酸イオンの状態でなければいけないのです。
「炭酸泉」には二酸化炭素が気体とならずに重炭酸イオンの状態でお湯に溶けています。しかし「炭酸水」では、二酸化炭素は重炭酸イオンとならずにすぐに気体である炭酸ガスとなってしまうのです。炭酸ガスは皮膚から血管に入り込まず水面から空気中に分散するだけです。
ですから、二酸化炭素が水に溶けているという点では「炭酸水」も「炭酸泉」も同じですが、二酸化炭素が重炭酸イオンとならずにすぐに炭酸ガスになってしまう「炭酸水」には「炭酸泉」と同様の血行促進作用を求めるのは難しいということになります。
重炭酸イオンで血流アップ
皮膚から血管に浸透するのは炭酸ガスではなく重炭酸イオンであることはわかりました。
では、どうして重炭酸イオンが血管に入ると血行が促進されるのでしょうか。
それは血液中の重炭酸イオンが増えると、体が「酸素が足りない」「老廃物が多い」と判断して、酸素を供給し老廃物と二酸化炭素(重炭酸イオン)を排出するために血管を拡張して血流を増やそうとするからです。
先ほども述べたように、血液によって体の各組織に酸素が届けられると、今度は代謝によって出た二酸化炭素や老廃物が血液によって運ばれて、体外に排出されます。
二酸化炭素は血液中では重炭酸イオンの状態で運ばれますが、本来であればこの重炭酸イオンが血液中に多い状態というのは、同時に老廃物も多い状態なのです。
炭酸泉の重炭酸イオンが血管に入り込むと、血液中の重炭酸イオンが増えて、体が「代謝が活発で、酸素が不足し、老廃物が多い状態」と勘違いしてしまいます。
そこで血管を拡張する一酸化窒素が分泌されて、血管が拡張され、血流が増えて、血行が促進されるのです。
炭酸泉に入浴すると通常のお湯に入浴した場合と比べて、血流量が3倍以上になるといわれています。
出典元:偕行会グループ
ホットタブで自宅で炭酸泉を再現
「炭酸水」が育毛に効くといわれているのは、自宅で手軽に「炭酸泉」と同様の血行促進効果を得られると思われているからですが、残念ながら「炭酸水」には「炭酸泉」と同様の効果は期待できません。
よくある炭酸の入浴剤も、炭酸水と同様に炭酸ガスを出すことに主眼を置いているので、同様に期待できません。
自宅で炭酸泉の効果を再現するのならホットタブを使用するのがベストです。
ホットタブは家庭で炭酸泉を再現することを念頭に開発されました。ホットタブ開発者の小星重治社長は炭酸泉では二酸化炭素が炭酸ガスではなく、重炭酸イオンの状態で存在していることに着目しました。そして独自の錠剤製造技術により炭酸ガスではなく重炭酸イオンがお湯に溶ける入浴剤の開発に成功したのです。
ホットタブによって「炭酸水」では再現できない「炭酸泉」の血行促進効果を自宅で再現することが可能です。
確かに私が使用した限りでも、ホットタブを入れたお湯に入浴すると湯上がりがまるで温泉に入った後のように気持ちがいいのですが、それも血行促進効果によるものなのでしょう。
また、開発者の小星社長がホットタブ自体に育毛効果がある可能性を指摘されていますが、それも炭酸泉同様の血行促進作用によるものなのかもしれません。
サロンのヘッドスパと同じコスト
自宅で炭酸水で洗髪するにしても、美容室で炭酸ヘッドスパを受けるにしても、それなりの費用がかかります。
自宅で炭酸泉で散髪する場合、100円のペットボトル入り炭酸水を毎日1本ずつ使うとしても、月3,000円かかります。
美容室で炭酸ヘッドスパを受ける場合、料金は3,000〜8,000円はします。しかも一部の美容室ではホットタブを導入されているようですが、ほとんどの美容室の炭酸ヘッドスパは「炭酸ガス」を生み出す「炭酸水」で行われるので、重炭酸イオンの効果は期待できません。
自宅でホットタブで洗髪するコストは、専用のシャワーヘッドの購入に初期費用7,128円(税込)が必要になりますが、ホットタブ自体の月々のランニングコストは2,700円(税込)で済みます。
ペットボトルの炭酸水を使うにしろ、ホットタブを使うにしろ、月々の費用は約3,000円と代わりません。美容室でヘッドスパを受ける場合には、下手をすると費用はこの倍以上になります。
同じ金額か、倍以上の金額を払うのなら、効果が確かなホットタブを選ぶ方が賢明なことは明白ですね。