湯シャンを実践するのなら水道水にも注意が必要です。
水道水に含まれる塩素が頭皮にダメージを与えるからです。
塩素の作用
水道水には殺菌のために塩素が含まれています。
塩素が有害な病原菌などを除去してくれるおかげで私たちは水道水を安心して飲めるわけですが、塩素の殺菌作用が人体にマイナスの影響を与えている可能性もあるのです。
育毛の面で塩素の有害性を指摘しているのは『55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由』の著者、藤田紘一郎博士です。
医学博士で寄生虫学や感染免疫学が専門の藤田先生は、ご自身の医学的な見識を活かして主に食事療法によって薄毛を克服された方です。
そんな藤田先生が指摘するのは、塩素が人体に有益な細菌を除去してしまうという点です。
頭皮と腸内細菌の意外な関係
「腸内フローラ」という言葉が取りざたされていることからもわかるように、近年になって健康には腸内細菌が重要であるという認識が広まっています。
人間の腸には約3万種、100兆個の細菌が生息しているといわれており、これらの細菌は人間自身では作れない栄養素を産出したり、病原体の侵入を防いだりして、人間の体に有益な働きをしています。
腸内細菌と人間は共生関係にあるわけです。
この腸内細菌が人間の健康に重要な役割を果たしているわけですが、育毛の面でもそれは同じです。
特に腸と皮膚は密接につながっているといわれています。
腸内環境を整えることでアトピーが治った事例などがありますが、これも腸と皮膚には深い関係があることを示しています。
頭皮も皮膚の一部ですから、腸と皮膚が密接につながっているのなら、腸と頭皮も密接につながっていることになります。
皮膚常在菌が頭皮を健康に保つ
腸に腸内細菌がいるように、皮膚にも人間と共生関係の細菌がすんでいます。これらを皮膚常在菌といいます。
例えば表皮ブドウ球菌は皮脂を食べてグリセリンを生み出すことで、皮膚を弱酸性に保ち悪性の細菌が増えることを防いでいます。
またグリセリンは皮膚の保湿成分としても働いています。
他方、皮膚の細菌の生息バランスが崩れて、こうした善玉菌が皮膚の上で減少すると皮膚に悪い影響が出てきます。
頭皮の常在菌の1つにマラセチアという菌がいますが、この菌は脂漏性皮膚炎の原因菌だとされています。
頭皮の常在菌のバランスが崩れ、マラセチアが異常に繁殖すると脂漏性皮膚炎になると考えられているのです。
こうした悪玉菌を繁殖させないためには、皮膚常在菌を正常なバランスに保つ必要があります。
シャンプーはもちろん、塩素の殺菌効果はこうしたバランスを崩し、皮膚の良好な細菌環境を損なう危険性があるのです。
浄水器で水道水の塩素を除去
ではどうすれば水道素に含まれる塩素の影響を軽減することができるのでしょうか。
方法の1つは浄水器で水道水の塩素を除去することです。
現在は蛇口に取り付けるタイプやポットで濾過するタイプなどいくつか種類を選べます。
価格は安いもので三千円程度、数ヶ月にごとに交換するカートリッジ代も同じぐらいです。
ちなみに私は飲料水用に下記の三菱レイヨン・クリンスイのポット型を使用しています。こちらの浄水器で塩素の除去率は80%ということです。
お風呂の蛇口には同じく三菱レイヨンの下記のタイプを取り付けています。
こちらを取り付けるとお湯が柔らかくなったような気がします。
この浄水器を使った入浴でアトピーが軽減されたという報告もあるので、塩素を除去することは皮膚にプラスになることは確かなようです。
ホットタブで塩素を除去する
同様にシャワーヘッドも塩素除去機能のついたものが複数のメーカーから出ています。
髪のためには是非とも導入したいところですが、私は既にホットタブ専用のシャワーヘッドを取り付けています。
どうすべきかと悩ましいところですが、心配ご無用です。
ホットタブにも塩素を除去する効果があるのです。
実際に残留塩素を測定する試薬で試してみました。
塩素が残っていると水がピンクに染まる試薬です。
左がただの水道水。
真ん中が浴槽でホットタブを溶かしたお湯。
右がホットタブ専用シャワーヘッドから出したお湯。
結果は一目瞭然ですね。
水道水が派手なピンク色になっているのに対して、ホットタブを浴槽で溶かしたお湯は透明で塩素がきれいに除去されていることがわかります。
専用シャワーヘッドのお湯は若干色が残っているので、完全ではありませんがそれでもかなり除去されています。これぐらいの色合いでは残留塩素濃度は0.05〜0.1ppmのようです。
ppmは水溶液中の濃度を表す単位で、1Lあたり何mgあるかを表します(ppm=mg/L)。
通常の水道水の残留塩素濃度は約0.4ppm、浄水器の水は約0.1ppmといわれているので、専用シャワーヘッドでホットタブを使っても浄水器並みの塩素除去が可能だということです。
さらには浴槽でホットタブを使った場合は、通常の浄水器以上の除去が可能ということになります。試薬の色合いから見るとほとんど完全除去に近いのではないでしょうか。
浄水器を選ぶか、ホットタブを選ぶか
正直なところ、ホットタブの塩素除去作用については疑っていたのですが、今回の実験でそれが本当であることがわかりました。
ホットタブの健康促進や美肌・美髪といった効果には、この塩素除去作用の働きも大きいのかもしれません。
浄水機能付きのシャワーヘッドもカートリッジの交換が必要になり、ランニングコストには月千円程度はかかると見ていた方がいいでしょう。
一方、専用シャワーヘッドでホットタブを1日1錠使うとすると、ランニングコストは1月30個入りの2,700円になります。
塩素除去だけを考えると、一般的な浄水器に比べてホットタブの方がランニングコストは割高になりますが、ホットタブには塩素除去だけでなく、老廃物除去やその他の健康促進作用もあります。
塩素除去のシャワーヘッドを検討中の方は、ぜひホットタブも検討してみてください。