以前通っていた美容室で薄毛について美容師さんに相談したことがあります。
すると「唐辛子と大豆を食べれば髪は生えるんですけどね〜」と軽い感じで返されました。
そのときは、「そんな簡単なことで髪が生えるか!」と反発を感じたのですが、最近それを科学的に証明する理論に出会ったので以下で紹介します。
育毛物質 IGF-1
唐辛子と大豆が育毛にいいと主張するのは医学博士の岡嶋研二氏です。
その根拠は、この二つの食品を同時に食べると育毛物質インスリン様成長因子-1(IGF-1)が増えるからだということです。
インスリン様成長因子は、肝臓や骨格筋などで産生されるインスリンと類似したペプチドホルモン。脳下垂体から分泌される成長ホルモンの刺激により合成分泌される。体のほとんど全ての組織・細胞の成長を調節するホルモンで、胎児の発生などに重要な役割を果たす。
IGF-1が毛髪の成長に必要な物質であることはすでに知られていました。
しかしIGF-1は成長ホルモンによってしか増えないため、成長ホルモンの分泌が低下する20代以降はIGF-1も増えないと考えられていたのです。
岡嶋医師は知覚神経が刺激されることでもIGF-1が増えることを発見しました。
そしてこのメカニズムを利用してIGF-1を増やすには、唐辛子と大豆をいっしょに食べる方法が最も効率的だという結論に達したのです。
唐辛子はカプサイシンという辛味成分によって知覚神経を刺激します。
知覚神経とは温度や触感、痛みなどの感覚を感じ取る神経のことです。皮膚や臓器、筋肉など、体中に張り巡らされています。
唐辛子を食べると辛味を感じるのも知覚神経を刺激されているからです。辛味とは味覚ではなく弱い痛覚(痛み)なのです。
唐辛子を食べて知覚神経が刺激されるとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質が放出されます。
このCGRPが毛乳頭まで達すると細胞内のIGF-1を増加させ、育毛が促進されるようになります。
また大豆に含まれるイソフラボンは知覚神経内のCGRPを増加させる働きがあります。
そのため唐辛子と大豆を一緒に食べると相乗効果で、効率よくIGF-1を増やすことができるのです。
毎日の食事で簡単に摂取
実際に岡崎医師が実験してみると、カプサイシンとイソフラボンを毎日摂取すると5ヶ月後には64.5%の人に育毛効果が認められたそうです。
では毎日どれぐらいの量の唐辛子と大豆をとればいいのでしょうか。
岡崎医師によれば、豆腐1/4丁入りのみそ汁に小さじ1杯(5g)の一味唐辛子を入れたものを朝晩1敗ずつ飲めば、同様の効果が期待できるということです。
豆腐一丁300gにはイソフラボンが約80mg、一味唐辛子100gにはカプサイシンが20〜150mg含まれているので、1日摂取の目安はイソフラボンが約40mg、カプサイシンが2〜15mgということになります。
韓国では薄毛の人は少ない
唐辛子が育毛に効果があると聞くとまっさきに韓国のことを考えてしまいました。
韓国といえば、キムチにコチュジャンなど、その食文化は唐辛子をよく使用することで知られています。
そして、韓国は日本と比較して薄毛の人、白髪の人が少ないというイメージもあります。
実際にアデランスが1998〜2008年に国別の薄毛率を調査した結果、日本は薄毛率26.78%でアジアでトップだったのに対して、韓国は薄毛率22.41%でアジア諸国の中でも低い方でした。
考えてみれば日本はアジアでも北方に位置しており、他のアジア諸国は南方の国が多くなります。
一般的に南方の国では料理に香辛料が多く使われるので、アジア諸国の薄毛率が低いのは唐辛子をはじめとする香辛料が育毛にプラスになることの証明になるかもしれません。
辛いものが苦手でもサプリで補える
しかし豆腐はともかく毎日みそ汁に一味唐辛子を小さじ一杯入れるのは、続けるのにつらいものがあります。
豆腐はもともと癖の少ない食品ですから、苦手な人はほとんどいないでしょう。
それに大豆製品は種類が豊富なので、他の食品で代替することも簡単です。
以下にイソフラボン40mgを含有する大豆食品の分量をまとめてみました。
- 納豆 1パック(45g)
- 豆腐 1/2丁(150g)
- 豆乳 1パック(200g)
- 厚揚げ 1/2枚(100g)
- きな粉 大さじ4杯(24g)
- みそ汁 お椀7杯(140g)
対して、唐辛子を含む食品もタバスコ、豆板醤、ラー油、キムチなどがありますが、どれも一様に辛いのでその味覚に耐えられるかというのが問題です。
比較的どんな食品にも合うのが七味唐辛子です。
みそ汁はもちらん、意外と洋食に振り掛けても違和感がありません。
タバスコやラー油はもとがお酢やごま油といった癖の強い調味料なので、合わせる料理が限られてきます。
実際に私はみそ汁をはじめ、できるだけの料理に七味唐辛子をふりかけるように実践しています。
しかし、やはり小さじ一杯の分量はいつも「ちょっと多いな」と感じてしまいます。
そこで活用しているのがカプサイシンのサプリメントです。
サプリメントで摂取すれば辛さに悩むことなく必要量のカプサイシンをとることができます。
私がとっているのは温活宣言というサプリメントです。
もともとは冷え性予防のサプリメントなので、体温を上昇させてからだの末端の血流をよくする効果も期待でいます。
他の育毛法と併用が可能
この育毛法のいいところは他の育毛法との併用が可能な点です。
食事の内容を少し変えて、足りない分はサプリメントで補えばいいだけです。
食事に大豆食品を一品加えて、可能な範囲で唐辛子を摂取してみる。
豆乳200mg1パックと唐辛子のサプリ数粒で済ますことも可能です。
薬にはない毛髪の成長を促進する作用
また、育毛効果が毛髪の成長を促進させる作用である点も特徴的です。
たとえばプロペシアはAGAに非常に効果がありますが、その作用は毛髪の成長を阻害している物質を抑制するものです。
あくまで脱毛要因を取り除くだけで、毛髪の成長力自体がプラスになるわけではないのです。
その点、IGF-1は毛髪の成長を促すので、プロペシアとは異なる方向からのアプローチが可能です。
実際に岡嶋医師のクリニックではイソフラボンとカプサイシンの摂取とプロペシアを併用することで高い育毛効果を出しているようです。
自分で試してみるしかない
いかがでしょうか。
このIGF-1の育毛理論には、ジヒドロテストステロン(DHT)が脱毛を促進させるメカニズムとは別方向からの医学的な育毛研究の可能性があるように感じられます。
食事に大豆食品と唐辛子を加えるだけなので、取り組みやすい点もうれしいところです。
他の育毛法と同様に効果が出るまでには半年ほどはかかりそうですが、ハードルがほとんどないので気長に続けるには最適な育毛法だといえるでしょう。
唐辛子の辛さが問題に感じる人はぜひサプリメントを試してみてください。