画期的な育毛剤であるプロペシア。
多くの人がプロペシアによって薄毛を改善しています。
ではプロペシア以外の育毛法は無意味になったかというと、そうではありません。
プロペシアも完璧な育毛法ではないからです。
画期的な育毛剤プロペシア
プロペシアがそれまでの育毛法と異なるのはその効能が医学的に立証されているという点です。
国内の臨床試験では1年間の服用で58%の人に「軽度以上の改善」が見られ、この数値は2年間の服用で68%、3年間の服用で78%と服用年数が伸びる程伸びていきます。
「効くのか、効かないのか」という点では、1年間の服用で6割近い人に「効く」ことが立証されているのです。
これまでの育毛剤や育毛サロンの施術には、このような医学的・統計的な根拠はありませんでした。
また1日1錠服用するだけという簡単な服用方法も、他の育毛法の煩雑さと比較すると画期的です。
もっとも効果が確認できるのに少なくとも6ヶ月間の連続服用が必要ということですので、即効性は望めません。
また女性の男性型脱毛症(FAGA)には効果が認められていません。
プロペシアは体質を改善するわけではない
プロペシアは、どうしても薄毛を改善したいという人にはまさに待望の薬です。
しかし、プロペシアは「毛を生やす」作用を持っているわけではありません。
男性型脱毛症(AGA)の原因は、脱毛を促すジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンであるとされています。
プロペシアの作用は、テストステロンをDHTに変換させる5α還元酵素を抑制することで、DHTの産生を抑えることにあります。
つまり、プロペシアは「毛を生やす」のではなく、「毛を生えなくしている」原因を取り除くことで正常な発毛・育毛を促すのです。
よって、プロペシアは薄毛体質自体を変化させるわけではありません。
100%薬の力で、脱毛の原因物質であるDHTを物理的に抑えているのです。
実はこの点にプロペシアの限界があります。
一生服用し続けられるのか
プロペシアの限界とは、その効果を発揮・維持するためには薬を服用し続けないといけないという点です。
実際に服用を途中で中断すると、服用前のように脱毛が進んだ例が報告されています。
服用することで効果が蓄積されるわけではないのです。
ですから、育毛法としてプロペシアの服用を選ぶということは、必然的に半永久的にプロペシアを服用し続けることを意味します。
問題はプロペシアを一生服用し続けることが可能かという点です。
人体に対して何らかの作用を及ぼすのが薬ですから、その作用が時には副作用として悪い方に働くことも往々にしてあります。
プロペシアには特に重篤な副作用はないとされていますが、一方で肝機能障害を引き起こす可能性も指摘されています。
プロペシアが厚生労働省に認可され発売されたのは2005年ですから、2017年現在では最高で12年間の服用データしかまだないことになります。
今後、長期間の服用での副作用が確認される可能性もあるのです。
また普通、加齢とともに他の薬も服用する可能性は高くなるので、他の薬との併用が危険となって服用できなくなる可能性もあります。
他の育毛法を組み合わせる
プロペシア一辺倒の育毛では、万が一プロペシアを服用できなくなった場合にはまた薄毛に戻ってしまいます。
そこでプロペシアを服用しつつ、平行して別の育毛法を試みるというのが最良の方法となります。
『育毛セラピー』の著者、鈴木拓也さんはプロペシアによって薄毛を克服されましたが、プロペシア以外にも食事療法や生活習慣の改善も実践されています。
その結果、プロペシアの服用を2日に1回に減らしても、改善した毛量を維持することに成功されています。
プロペシアの効果は「1年間の服用で58%の人が改善する」という高い確率のものですが、逆に考えれば1年間服用しても約40%の人には効果がでないということになります。
40%の人に効果がでないのは、体質によるものなのか、それとも薄毛の原因がDHT以外によるためなのか定かではありませんが、プロペシアが効かない部分をカバーする育毛法と組み合わせることで、プロペシアのみに頼るよりも薄毛が改善する確率が高くなります。
カギは内分泌系
それではプロペシアと組み合わせるのはどんな育毛法がいいのでしょうか。
カギはプロペシアが薄毛を改善させるメカニズムにあります。
プロペシアはDHTが生み出されるのを抑制することで薄毛を改善しますが、それが作用する経路は一般的な育毛剤のように直接頭皮に働きかけるものではなく、口からの摂取・消化器官・血管という経路を経て、毛母細胞が分裂して髪が生み出される毛球部に達して作用します。
これはタンパク質などの髪の毛に必要なあらゆる栄養素と同じ、口・消化器官・血管という真っ当なルートです。
育毛にはこの経路を使用することが効果的だということです。
具体的には食事療法で育毛に良い栄養素を毛球部の届けたり、血行を良くするなど全身の体調を改善することです。
先に触れた鈴木拓也さんもプロペシア以外で実践されているのは、食事療法、ハーブの摂取、姿勢の改善など体を内側から改善していく方向のアプローチで、シャンプーや育毛剤はあまり効果がないと指摘されています。
一生続けられる育毛法を
プロペシアは画期的な育毛剤ですが、効果が100%保証されているわけではありません。
ですからプロペシアを服用するにしても、それ以外の育毛法を試していくことには意味があります。
理想的なのはプロペシアと他の育毛法を併用しながら、プロペシアなしでも毛量を維持できる育毛法を確立させて、徐々にプロペシアの服用量を減らしていく方法です。
プロペシアと併用する育毛法はプロペシア以上にリスクのある育毛法ではいけません。体に負担のない一生続けられる育毛法である必要があります。
体に負担をかけない育毛法となると、食事療法や体質の改善といったものになります。
これらの方法はプロペシアや育毛剤、育毛シャンプーとくらべると地味なイメージがありますが、それはリスクが低いということの裏返しであるとも考えられます。
リスクの低い一生続けられる育毛法を見つけることは、遠回りのように感じられますが、実は育毛の王道だとも言えるのです。